習近平国家主席の影響力が強い今の中国で、一見無謀ともいうべきか勇気ある発言をして注目を集めているのが許章潤氏です。許章潤が、北京の民間シンクタンクを通じてインターネット上で公開した問題の論文では主に次の点を指摘しています。
許章潤の論文内容とは
許章潤氏の論文内容ですが・・・
・習近平国家主席への個人崇拝の糾弾(国家主席の任期撤廃を即決した憲法改正を問題視)
・天安門事件の再評価の要求
そして中国政府に対する4つの提案&要点を挙げています。
それが・・・
・ 基本法と秩序を維持し、国家のビジョンを定義するべき
・ 現在、私有財産権の尊重が限定されており、国益の追求が許容されているので改善すべき
・ 国民の自由が制限された生活を変えるべき
・ 現在の政治体勢を維持しようとする制度を変えるべき
さらに許章潤氏は、以下の懸念点を挙げています。
・ 国民一人ひとりが財産権をはく奪されることへの恐怖を持っている
・ 政治が階級闘争に専念している
・ 過剰な対外援助により、国民の生活はひっ迫している
・ 軍拡の動きが止まらず、深刻である
・ 政治の改革が置き去りになっている
こうみると当り前のことしか言っていないのですが、それが中国からしたらとんでもないことなんですよね。
筆者はかつて中国に暮らしていたことがあるのですが、毛沢東時代回帰(真の中国を知っている中国人からすれば恐怖の記憶でしかない)を狙う習近平国家主席側からすれば「これらはあり得ない発言・主張」であり、すぐに公安警察が許章潤氏の拘束のために動き出しような事案です。
許章潤の経歴・学歴&映像・画像は?
許章潤氏の画像がこちらです。
引用元:自由時報
許章潤氏の経歴・学歴ですが、西南政法大を卒業後、オーストラリアのメルボルン大に留学し法学の博士号を取得しました。
許章潤氏は法学者であり、2005年には中国国内で「優れた若手法律家トップ10」の一人に選ばれるなど、法学の世界で高い実績を残してきました。
現在、清華大法学院で教授を務めているのですが、清華大学は多くのエリートを輩出しており、レベル的に北京大学と肩を並べる優秀な大学であり、日本でいえば、東大と京大のような関係性です。
そんな清華大法学院で教授を務めているような人物が、あえて保証されていた自分の立場・身分や場合によっては命まで危険にさらして今回論文を発表したというのは、中国人からしても信じられないと思いますね。
許章潤氏の今現在はどこ?どうなる?
さて、許章潤氏の今現在はどこなんでしょうか?そしてどうなるんでしょうか?
まず、中国政府がとった対応はすばやくネットワークを遮断して、許章潤氏の論文が見れないようにしました。しかし、現在は多くのVPNサービスも発達している中国では、若い世代を中心にVPNを使いこなしているので、この論文も拡散していることと思います。
ただ、いわゆるSNSを通して、拡散するかというと、ここも監視されており、発信した側が簡単に特定されてしまうはずなので、SNSを使って安易に拡散はできないかもしれませんね。むしろ、海外在住の中国人が発信することになるでしょう。
ただし、VPNサービスも中国政府とのいたちごっこなので、遮断されてはまた新規にVPNサービスを立ち上げる・・・というループは続くと思います。
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許章潤氏の現在については、どこも報じていませんが、おそらく公安当局による尋問&監禁は間違いないんじゃないかと思います。その後、自宅軟禁などで済めばいいですね。ただ、せっかくの安定した清華大法学院での職を去ることは間違いないでしょう。
そして、心配なのが許章潤氏の家族ですね。許章潤氏の信念や理念を理解してくれる家族だといいのですが、目に見えるもの(お金など)しか信頼しない中国人に限って正直そういった人々が少ないですからね・・・ 家族が離散しなければいいな・・・と思っていたりします。
命に関しては、おそらく大丈夫と信じたいですね・・・ もはや30年前の中国ではないので。
まとめ
中国に行くと驚かされるのが、いわゆるインターネット世代ではない中高年世代が天安門事件を知らないこと。
当時、世界中に衝撃を与えた、例の戦車の前に立ちはだかりひき殺される若者の映像の存在など知る由がありません。
また、天安門事件とググっても閲覧できないようになっています。もちろん、天安門事件だけでなく、中国政府にとって探られたくない事件類も同様の扱いです。いかに情報統制がされてきたかというのが分かります。
今から20年前であれば、それでも通用したかもしれませんが、今の若い世代はネットを使いこなしており、そうした「洗脳」も通用しない時代なので、今回の許章潤氏の論文も何らかの形で目にするでしょうし、今後の中国の在り方にも変化が生じるかもしれません。
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